亜急性甲状腺炎

亜急性甲状腺炎とは?
40~50歳代の中年女性に多い疾患で、ほとんどがウィルス感染によって、甲状腺の細胞(濾胞)を破壊、そのため、一過性に甲状腺ホルモンが上昇する疾患です。背景に橋本病をもっている方もいらっしゃいます。それゆえにあくまでも、一過性の疾患ですが、改善しても今度は橋本病の治療が必要になる方もいらっしゃいます。(橋本病の治療詳細はこちら)
亜急性甲状腺炎の原因
亜急性甲状腺炎は、90%がウィルス感染といわれています。ウイルス感染後に起こる一時的な甲状腺の炎症です。主に風邪やインフルエンザ、ムンプスウイルスなどが関与し、感染後の免疫反応によって甲状腺が攻撃されることで発症します。
発熱や前頸部の痛み、動悸などの甲状腺機能亢進症状が現れ、一時的にホルモンの分泌が過剰になった後、低下することもあります。
亜急性甲状腺炎の症状
亜急性甲状腺炎の症状は、風邪の後に現れることが多く、最初に「喉の奥が痛い」「飲み込みにくい」といった違和感から始まるケースが少なくありません。しかし実際には、喉ではなく甲状腺自体が炎症を起こしているため、痛みの部位は前頸部、つまり首の前側に集中します。この痛みは触れると強く感じる圧痛として自覚され、食事や会話などの動作でも痛みが増すことがあります。
さらに特徴的なのは、痛みの移動性です。炎症が甲状腺全体に波及するにつれて、痛む場所が日ごと、あるいは数日単位で左右に移動することがあります。このため「最初は右が痛かったのに、今は左が痛い」といった訴えが聞かれるのです。
また、炎症により甲状腺の細胞が破壊され、一時的に大量の甲状腺ホルモンが放出されることで、動悸・発汗・不眠・イライラといった甲状腺機能亢進症状が出ることもあります。これらの症状はバセドウ病とも似ていますが、亜急性甲状腺炎では自然に落ち着いていくのが特徴です。
他にも、発熱や全身の倦怠感、筋肉痛、関節痛といった全身症状を伴うこともあり、体調の悪化を強く感じる方もいます。誤って「風邪」や「喉の炎症」と診断されてしまうこともあるため、首の前面の触れる痛みと痛みの移動性を見逃さないことが、早期診断につながります。
亜急性甲状腺炎の治療方法
亜急性甲状腺炎は、自然経過でも軽快することが知られています。しかし高熱や前頸部の激しい疼痛、全身倦怠感などが強く出現するため、治療介入が必要となるケースが一般的です。
まず一般的にはNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)で、ロキソプロフェンやイブプロフェンなどを用いて疼痛および炎症のコントロールを行います。これらで症状が十分に緩和されない場合、あるいは炎症反応(CRPなど)が高値を示し長期化が予想される場合には、プレドニゾロン等の経口ステロイドを使用します。
また、一過性の甲状腺中毒症状(動悸、発汗、不安感等)を伴う場合には、β遮断薬(例:プロプラノロール)の併用も有効です。治療期間は通常1〜3か月程度で、ステロイドは再発を防ぐためにも慎重な減量が求められます。再発例では同様の治療を繰り返すことが基本となります。
なお、回復期には一時的に甲状腺機能低下が出現することがあり、必要に応じて甲状腺ホルモン補充を検討しますが、大多数は自然回復します。定期的な甲状腺機能検査と炎症マーカーの評価を通じて、経過観察を行いましょう。
地域医療連携病院一覧
世田谷内科・糖尿病総合クリニックでは、他医療機関と協力しながら、
地域から求められる医療を提供していきます。
世田谷区
- 奥沢病院
- 関東中央病院
- 玉川病院
大田区
- 松井病院
- 荏原病院
- 東急病院
- 田園調布中央病院
- 牧田総合病院
目黒区
- 三宿病院
- 東邦大学医療センター大橋病院
品川区
- 昭和大学病院
渋谷区
- 広尾病院
文京区
- 順天堂大学医学部附属順天堂医院
中央区
- 聖路加国際病院
LINEから質問をする or LINEから予約へ進む